漫画家の美内すずえさん(撮影:藤澤靖子)
老若男女に愛される長寿漫画『ガラスの仮面』。新刊が待たれるなか、2020年1月には作中劇である「紅天女(くれないてんにょ)」がオペラとなって上演されます(〜1月15日、東京・Bunkamuraオーチャードホールにて)。台本を自ら手掛けた原作者の美内すずえさんに、あらためてその思いを聞きました(撮影=藤澤靖子)

「これは」と思ったドラマの企画書

16歳の時に高校生漫画家としてデビューしてから、すでに50年以上が過ぎました。24歳で始めた『ガラスの仮面』の連載も、気づけば40年を超えています。コミックスは現在49巻まで刊行。まさかここまで長いお話になろうとは、当初は夢にも思いませんでした。

『ガラスの仮面』は、もともと1~2年で終わらせるつもりで描き始めた作品です。これまでアニメ、舞台、テレビドラマとさまざまな形で展開され、幅広い世代の方に愛していただきました。なかでも話題を呼んだのは、1997年に放送されたテレビドラマ版でしょうか。

主人公の北島マヤを演じたのは、当時15歳だった安達祐実さん。そして今は亡き野際陽子さんが、月影千草(つきかげちぐさ)を演じてくださいました。それ以前にも実写化のお話はいただいていたのですが、どの企画もキャスティングがしっくりこなくて。

なかには私が承諾していないにもかかわらず、いつの間にか台本まで完成しあとは撮影するだけ、などというものもありました。もちろんそのドラマは実現しておりません。

そんななか、唯一「これは」と思ったのが、テレビ朝日の女性プロデューサーが持参した企画書でした。そこに安達祐実さんと野際陽子さんのお名前があって。イメージはぴったりです。頭の中で作中の二人の映像が浮かび、すぐさま「やりましょう!」とお返事し、初のドラマ化が決定しました。

後日、撮影現場にお邪魔する機会があったのですが、私の前を横切って行く野際さんを見た時、思わず「ウソでしょう!?」と声を上げそうになったことを覚えています。

これは作者にしかわからないことでしょうけれど、黒いドレスを着た野際さんの背中から腰、脚にかけての横向きのラインが、漫画とそっくりだったのです。こんなことってあるんだなあと感動しました。