「『ガラスの仮面』もようやく動き出せそうです」(美内さん)

人生で起こることはすべて繫がっている

ご縁はさらに続きます。2017年、今度は全国のデパートで『ガラスの仮面』の40周年記念の原画展をすることになり、何か記念品をと考えていた時に、ふと、あの時の音楽を思い出したのです。あの音源で「紅天女」のCDを作って、それを40周年の記念品にしようと。寺嶋さんと郡さんに相談をしたところ、ご快諾いただきました。

1000枚限定で作ったCDは大好評。郡さんにもお送りすると、「これをオペラにできないかしら?」と言われました。それが今回のオペラ「紅天女」の生まれるきっかけなのです。

ずいぶん昔のことですが、あるオペラを観劇中に、ふと、「紅天女」もオペラになると面白いだろうな、と思ったことがあります。すぐに忘れてしまったのですが、時を経て、今、それが実現しようとしていることに、なんとも不思議な感じがしています。

私が郡さんの歌声に惹かれなければ、アルバムを作らなければ、そして友人が「紅天女」を踊らなければ、今回の舞台は実現しませんでした。偶然はなく、すべてのことは繋がっているのだな、としみじみ思います。

プライベートでは、4年前に主人が倒れました。心肺停止23分。確かに一度、死にかけたのだと思います。今の医学と、お医者様の熱意に助けられて。友人たちの支えと励ましに、ああ、人を頼っていいんだ、甘えていいんだ、と初めてそんな気持ちになりました。

今も要介護5。自分で立つこともできません。それでも笑顔は昔のままです。去年の私の誕生日には、お祝いにやって来てくれた私の友人たちと一緒に「ハッピーバースデー」を歌ってくれました。お医者様は“奇跡”だといいます。そうかもしれません。「紅天女」の奇跡の流れの中で、“生命”の神秘を感じています。

最近やっと生活が落ち着いてきました。2020年は、オペラ「紅天女」から始まります。『ガラスの仮面』もようやく動き出せそうです。