もしも、身近な人がうつになったら
〈夫の場合〉
「会社を辞めたい」と言われても、決して否定したり咎めたりしないこと
男性は女性に比べるとプライドが高く、自分の弱さをあまり周囲に見せない傾向があります。ですから傍から見てわかるほどつらそうな場合、本人は相当きつい状況だと思って間違いありません。
日常のサインとしては、食が細くなったり朝食を抜くようになるなど、食事に変化が出る。また、以前に比べて行動がのろくなった。些細なことが決められなくなった。こうしたことが重なるようなら、うつを疑っていいでしょう。
もし夫が「会社に行きたくない」「会社を辞めたい」と言いだしたら、決して否定したり咎めたりせず、じっくり本人の気持ちを聞いてください。家庭のある男性の場合は特に、どんなに会社がつらくても、ここで自分が出社拒否したらすべて終わりだと思って、我慢に我慢を重ねていることが多いのです。
私が診察したうつ病の方で、妻に「会社を辞めてもいいわよ。いざとなればあなた一人ぐらい私が養ってあげる」と言われ、すごくホッとしたという男性がいました。
こうした夫の気持ちを理解していない女性は多いと思います。
また、「死にたい」と言うようなら緊急事態なので、すぐに病院へ連絡を。昔はよく「死ぬ、死ぬと言う人に限って死なない」などと言われたものですが、そんなことはありません。自殺念慮は危険なサインですから、こうした言葉は聞き流さないでください。
本人が病院へ行くのを嫌がる場合は、内科など他のかかりつけ医から精神科や心療内科への受診を勧めるように頼んでみましょう。妻の言葉に抵抗しても、医師の勧めには案外と素直に従ってくれるものです。
あるいは夫の友人や、信頼のおける共通の知人に通院を勧めてもらうのもいいでしょう。ある程度の規模の会社なら産業医がいるので、ためらわず会社に相談を。
男性は女性に比べるとプライドが高く、自分の弱さをあまり周囲に見せない傾向があります。ですから傍から見てわかるほどつらそうな場合、本人は相当きつい状況だと思って間違いありません。
日常のサインとしては、食が細くなったり朝食を抜くようになるなど、食事に変化が出る。また、以前に比べて行動がのろくなった。些細なことが決められなくなった。こうしたことが重なるようなら、うつを疑っていいでしょう。
もし夫が「会社に行きたくない」「会社を辞めたい」と言いだしたら、決して否定したり咎めたりせず、じっくり本人の気持ちを聞いてください。家庭のある男性の場合は特に、どんなに会社がつらくても、ここで自分が出社拒否したらすべて終わりだと思って、我慢に我慢を重ねていることが多いのです。
私が診察したうつ病の方で、妻に「会社を辞めてもいいわよ。いざとなればあなた一人ぐらい私が養ってあげる」と言われ、すごくホッとしたという男性がいました。
こうした夫の気持ちを理解していない女性は多いと思います。
また、「死にたい」と言うようなら緊急事態なので、すぐに病院へ連絡を。昔はよく「死ぬ、死ぬと言う人に限って死なない」などと言われたものですが、そんなことはありません。自殺念慮は危険なサインですから、こうした言葉は聞き流さないでください。
本人が病院へ行くのを嫌がる場合は、内科など他のかかりつけ医から精神科や心療内科への受診を勧めるように頼んでみましょう。妻の言葉に抵抗しても、医師の勧めには案外と素直に従ってくれるものです。
あるいは夫の友人や、信頼のおける共通の知人に通院を勧めてもらうのもいいでしょう。ある程度の規模の会社なら産業医がいるので、ためらわず会社に相談を。
〈息子、娘の場合〉
腫れものに触るような態度はとらず、なるべく適正な距離感を保ってサポートを
自分の子どもがうつになると、母親はつい「自分のせいだ」と考えてしまいがちです。「あのとき私がこうしたからだ」とか「昔子どもがいじめられていたのを知らず、自分がサポートできなかったせいだ」などと言う方も多いのです。
しかしうつは、インフルエンザなどの病原菌が原因で起こる病気とは本質的に違います。「私が悪かったから子どもがうつになった」という単純な構造ではありません。本人の性格傾向、資質、行動様式、ものの見方の柔軟性、できごと、周囲のサポート状況、長年積み重なってきた諸々が複雑に絡み合っているものなのです。
ですから親は、自分を責めたり、子どもに対して腫れものに触るような態度をとることはせず、なるべく適正な距離感を保ちながらサポートしてください。子どものうつの場合は本当にいろいろなケースがあって千差万別なので、こうした基本的な心構えだけ押さえて、あとは個別にかかりつけ医や専門家と相談しましょう。
また家族の心構えとしては、夫や子どものうつに巻き込まれないことも非常に重要です。
うつの家族に振り回され、イライラしているうちに、自分がうつになってしまうというケースはよくあります。なるべく自分のペースを守り、体を動かしたり、好きなことに打ち込む時間をつくるなど、意識的にストレスを発散するようにしましょう。
くれぐれも家族だけで解決しようとして抱え込まず、周囲の人と連携し、サポート体制をつくり、専門家の力を借りてください。
自分の子どもがうつになると、母親はつい「自分のせいだ」と考えてしまいがちです。「あのとき私がこうしたからだ」とか「昔子どもがいじめられていたのを知らず、自分がサポートできなかったせいだ」などと言う方も多いのです。
しかしうつは、インフルエンザなどの病原菌が原因で起こる病気とは本質的に違います。「私が悪かったから子どもがうつになった」という単純な構造ではありません。本人の性格傾向、資質、行動様式、ものの見方の柔軟性、できごと、周囲のサポート状況、長年積み重なってきた諸々が複雑に絡み合っているものなのです。
ですから親は、自分を責めたり、子どもに対して腫れものに触るような態度をとることはせず、なるべく適正な距離感を保ちながらサポートしてください。子どものうつの場合は本当にいろいろなケースがあって千差万別なので、こうした基本的な心構えだけ押さえて、あとは個別にかかりつけ医や専門家と相談しましょう。
また家族の心構えとしては、夫や子どものうつに巻き込まれないことも非常に重要です。
うつの家族に振り回され、イライラしているうちに、自分がうつになってしまうというケースはよくあります。なるべく自分のペースを守り、体を動かしたり、好きなことに打ち込む時間をつくるなど、意識的にストレスを発散するようにしましょう。
くれぐれも家族だけで解決しようとして抱え込まず、周囲の人と連携し、サポート体制をつくり、専門家の力を借りてください。