大河ドラマで演じて得たもの

<千之助さんは、歌舞伎やドラマ以外に映画、現代劇の舞台など活躍の場を広げ、表現者として鍛錬を重ねている。大河ドラマで演じて、歌舞伎役者として得たものは?>

歌舞伎は3歳の初御目見得から、かれこれ20年。そして2、3年前から映像の仕事を始め、今年は初めて現代劇の舞台をやりました。もちろん歌舞伎をメインとして表現するうえで自己形成しているけれど、歌舞伎を活かして別の場で表現できることはたくさんあると実感しています。

舞台は、歌舞伎だったらほぼ1ヵ月、毎日同じ役を演じます。初日と千穐楽では全くできが違ってくる。初日には新鮮さがあり、慣れていって千穐楽での一つの完成形となる。一方、映像は、その日その日が全て。アプローチの仕方は舞台と映像は別物です。『光る君へ』の撮影は、毎回常に実験。撮り直しは可能だが簡単にはできないですから、私生活でもずっと頭に「敦康親王」があります。

でも、両者に共通するのは「役の気持ちになる」ということだと改めて痛感しました。これからも大切にしていきたい。

片岡千之助さん
写真提供◎NHK