率直に発言できるのは、「独立」しているから
そうそう、数年前には、信頼していたうちの経理担当者に2億7000万円を横領されるという事件がありました。
事件の5年半前に採用した社員で、驚いたことに入社したその月から、お金をこっそり引き出していたのです。毎回60万、80万と引き出して、その回数がなんと288回。もう笑うしかありません。
もちろん、悔しいですよ。あのお金があったら、美術品を並べられる新しいお家が買えたのに、と。許せないことです。でも、横領されたお金は、戻ってきたためしがないでしょう。だからこの件も引き出しの奥にしまって、気持ちを切り替えることにしました。
イヤな思いをすることもありますけれど、お金の力というのは本当に大きいと思います。
私はよく「毒舌家」などと言われますが、いつも普通のことを率直に申し上げているだけです。ほかの方が思っていても口にしないことを、私は言葉にできる。なぜそんなことが可能かというと、私が完全に“独立”しているからです。
物理的に、精神的に、そして、何より経済的に独立している。誰かに忖度・義理立てする必要も、遠慮する必要もありません。たくさんのお金を持っていても自由・独立していない人がほとんどです。完全なる自由、これこそが最高の贅沢ではないでしょうか。
読者の皆さんの中には、そんなことを言われても、自分にはお金を掴むチャンスが巡ってこないと言う方がいるかもしれません。でも、チャンスは誰にでも来ているんですよ。ただ気づかないだけ。なぜ気づかないかというと、人生に目的、目標、使命感を持っていないからです。
私は自分に何かあったら娘はどうなるのか、という不安の中で子育てをしました。怖かったから、しっかり自立させるために教育にお金をかけましたし、それを支えるために必死で働きました。もしそうでなかったら、会社を興すこともなかったので、今の私はいなかったでしょうね。
つまり、チャンスは転がりこんでくるものではなく、こうありたいと切望する人だけが気づくことができるものなのではないか、そんな気がしてならないのですよ。