リクルート事件当時の熱気

リクルート事件のことを思い起こします。今から三十数年前、1980年代の後半でした。

リ社が値上がり確実の未公開株を政治家、官僚、経済人に大量にばら撒き、それが贈収賄や政治資金規正法違反に問われた事件でした。

石破茂
(写真提供:講談社)

私はその時まだ当選1回の駆け出しの衆院議員でした。同じ当選1回の仲間たちと連日連夜、議論に議論を重ね、お金のかからない、政策本位の政治をどう実現するか、そのために我々政治家が身を削ることを含め、どういう改革をしたらいいのか、一生懸命考えたものでした。

熱に浮かされたような議論だった、と後に批判も浴びますが、逆に言えば、あの熱気がなければ、1989年5月の政治改革大綱の策定から5年越しの選挙制度の改革(中選挙区制→小選挙区比例代表並立制)まではとても至らなかった、と思います。

それは永田町だけではありませんでした。経済界、メディア界、学界の方々もとても熱心でした。

ちょうど、国際社会にあっては冷戦が終結し、国内にあってはバブルの崩壊という、大きな構造変化と並行していたこともあり、世論の関心はとても高く、我々も選挙区や識者の声に押されるようにして改革論議を進めたものでした。