2023年に起きた事件の共通項

それに比べると、今はどうでしょうか。永田町の熱もさることながら、世論の熱も当時ほどは感じられません。

あれから三十余年、政治改革に寄せる社会の期待感は、明らかに落ちている印象です。政治の世界はどうせこんなもんさ、という一種の諦観が世の中に横溢しているようにも見えます。

情けなく哀しい話でもありますが、それは日本の国力が相対的に落ちてきたことと決して無縁ではない。むしろ、どこかで因果が重なっている気もするのです。

2023年を振り返ると、中古車販売大手「ビッグモーター」の損害保険会社に対する不正請求・過剰ノルマ事件があり、日本を代表する芸能プロダクション「ジャニーズ事務所」における長年の性的虐待事件が、明るみに出ました。そして、国内外含めて64車種で174件の不正が確認されたという、「ダイハツ工業」の品質不正問題もありました。

これらメディアを賑わせた事件に私はある種の共通項を感じ取りました。それは何か。

ひと言で言うと、組織内部からの不正を告発する声が押さえ込まれ、健全な形で組織が新陳代謝を起こせる状態になかった、ということです。

※本稿は、『保守政治家 わが政策、わが天命』(講談社)の一部を再編集したものです。


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