病気やケガで通院した後の在宅医療の支援であれば、病院の「医療連携室」などの窓口へ。認知症で要介護認定されれば「地域包括支援センター」へ。
ただ複数の窓口に混乱したり、そもそも主治医からの紹介先が遠かったり……複数の病状に悩むケースもあるでしょう。
総合的な相談先として、主治医の所属機関を問わず、活用できるのが「訪問看護ステーション」です。
その地域に開かれた独立した事業所である「訪問看護ステーション」に、黎明期から関わり、自ら起ち上げた「桂乃貴メンタルヘルスケア・ハートフル訪問看護ステーション中目黒」で、自分自身も看護に当たるのが渡部貴子さん。
自らの経験を元に、介護や看護で困っている読者の方への駆け込み寺:【おとなの相談室】の先生として答えてもらうのがこの連載です。
専門の「在宅看護」を主軸に、切っても切り離せないメンタルケアを含めて、質問していきます。第6回目は、「知っておきたい、介護のトラブル3選」についてです。
(構成◎野辺五月)
本人が動けないのが大変なところ
Q:最近、義理の母の様子が芳しくないため、在宅介護を考えはじめています。友人から「介護にトラブルはつきものだよ」と忠告をされているものの、具体的な問題について思い描けていないのが現状です。よくあるトラブルについて教えて下さい。
A:よくあるトラブルを知っておきたいということなので、3つに分けてお答えしますね。
1つ目は、「介護する人が倒れてしまう・鬱になる」パターンです。
よくあるトラブルですが、「いざ」となったときにはトラブルを解決したいと思っている本人が動けないことも多いのが大変なところ。ただ実はトラブルに対して備えることはできるのです。安心してください。お身内や頼める先が見つからなくても、利用できる駆け込み先もあります。高齢者の場合は、ショートステイ用の施設が一時的な避難場所として利用できるので、先に知っておくとよいでしょう。
ただし利用するために、介護申請が必要なので、早めに申請をしておきましょう。なお介護レベルに関わらず、緊急時は利用可能である場合がほとんどです。
ちなみに障害のある方については、また別途レスキュー用の施設があります。もちろん数があるわけではないので、病院に一時入院となる場合もあります。その他度合いによって、訪問看護を含めて、地域のサービスを利用したり、ヘルパーさんを手配したり……様々な手を取ることはできます。
それでもなお「トラブル」として挙げられるのは、残念なことにあまり知られていないいからというのが大きいと(現場で見ていて)思います。いざというときに、専門家に繋がれるように、介護申請をして、訪問看護ステーションや地域包括支援センター、ケアマネージャーさん……どこでもいいので連絡先を確認しましょう。