柴田 早起きすると夜も早く眠くなるので、仕事がなければ22時には布団に入っちゃいます。
米井 それで5時半に起きるなら、睡眠時間は7時間半ですね。睡眠のサイクルは約90分で、これを5回繰り返す睡眠が最も死亡率を低くすると言われます。
年齢を重ねると「長く眠れない」という人も多いですが、4サイクル=6時間は確保していただきたい。また、長く寝すぎるのも体や脳の活動量が減って機能の低下を招きますから、その点でも柴田さんは合格です。
柴田 嬉しい! 先生にもう一つ伺いたいのが、脳の老化です。最近、人の顔が思い出せないなど物忘れが気になって。
米井 アルツハイマー型認知症は、脳細胞にアミロイドβというタンパク質が溜まることが原因とされてきました。さらに私が進めている研究で、アミロイドβがアルデヒドの影響で糖化すると、排出が滞って塊になり、周囲の脳細胞を死滅させてしまうことがわかったんです。
柴田 やっぱりアルデヒドが悪いヤツなんだ。
米井 臓器の中でも特に脂肪を多く含むのが、脳なんです。そのため、脂肪由来のアルデヒドの生成を防ぐことが重要。先ほどお伝えしたメラトニンには抗酸化作用があって、睡眠時に働いてアルデヒドが作られるのを防いだり、アルデヒドの塊をほぐしてくれたりするんですよ。
柴田 睡眠の質が脳の健康を左右するんですね。食事の面では、魚の脂がいいとも聞きますが。
米井 青魚に含まれるEPAやDHA、アマニ油やエゴマ油に含まれるα-リノレン酸など「オメガ3脂肪酸」の健康効果は、確かにあります。ただ、食事から摂る脂質が増えすぎると、その脂肪が酸化・糖化(ほかのアルデヒドと反応)してアルデヒドが作られてしまう危険があるので、注意が必要です。
柴田 わが家では毎朝エゴマ油を小さじ1杯摂っていますが、大丈夫かしら。
米井 柴田さんの場合、毎日の食事で摂る脂質が適量なので、問題ないと思いますよ。
柴田 よかった。脂身の多いお肉や揚げ物を食べたうえに「体にいい油も」と考えると、摂りすぎになるんですね。何事もバランスが大事だと肝に銘じます。