「最重要」と言われてきたノンレム睡眠
ノンレム睡眠では脳の活動が低下し、睡眠が深くなりますが、その深さに従ってさらに3段階に分けられます。
以前は4段階でしたが、深い睡眠N3、N4が統合されN3になり、現在ではノンレム睡眠は3段階が世界標準です。そしてN1、N2を浅いノンレム睡眠、N3を深いノンレム睡眠と呼ぶことになっています。
ノンレム睡眠では大脳皮質の神経細胞(ニューロン)の活動が低下します。眠りが深くなればなるほど脳全体の血流も低下するため、起きている時とは真反対の脳の状態になり休息度合いが上がります。脳が完全に休息している状態で、パソコンにたとえるとスリープ状態となります。
一昔前は、深いノンレム睡眠が最重要と言われていました。なぜかと言うと人の健康維持に作用する「成長ホルモン」が、深いノンレム睡眠のときに大量に分泌されるからです。
「成長」という名前が付いていますが、成長ホルモンは子どもの成長のためだけに働くものではありません。細胞を修復して免疫機能や認知機能に関わったり、代謝調節に関与したりするなど、人の一生にわたって重要な役割を担うものです。
また、アルツハイマーの主な原因とされる頭の中のアミロイドβタンパクも、深い睡眠のときに排出するようになっていて、深い睡眠が足りないとどんどん頭の中に蓄積されていきます。
つまり睡眠時間がたとえどんなに長くても、深い睡眠が足りていなければ疲労回復ができず、睡眠としての役割が果たせていないということになります。
これらのことから「深いノンレム睡眠を十分取ることが最重要」というのが定説になっていました。