強くなろうとすることから降りない
私は何を見ているのか。勝ち負けではない。人間を見ている。応援している選手が勝てば心底嬉しいが、それだけではない。
プロレスは不条理で、理不尽で、非合理的だ。私の目にはそう見える。21世紀にもなって、半裸の人間同士が四方から視線を浴びるなか肉体をぶつけあう世界。選手たちは戦う。なんのために? 多分、強くなるために。四角いリングのなかで生き残るために。
私たちだって同じだ。誰であれ不条理と理不尽のごった煮みたいな毎日を送っているではないか。手持ちのカードを使って、生き残ることに必死ではないか。
強くなろうとすることから降りない人たちを、大きな声で応援してもいい場所がプロレス興行だ。自身の特徴や特性をカリカチュアライズ(誇張)し、日常の戦いをリングの上でデフォルメして見せてくれる。
プロレスでは、相手選手の両肩をマットに押し付け、レフェリーが3カウント数えたら勝ち。
どんなに追い詰められても、2.99で肩を上げれば負けではない。生きていればいろいろあるけれど、2.99で肩を上げる。そういう生き方をしていきたい。
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年齢を重ねただけで、誰もがしなやかな大人の女になれるわけじゃない。思ってた未来とは違うけど、これはこれで、いい感じ。「私の私による私のためのオバさん宣言」「ありもの恨み」……疲れた心にじんわりしみるエッセイ66篇