「僕らは「こんなものか」と思われるようなショーを作ってはいけない」撮影:木村直軌
2019年末の紅白歌合戦では、白組のトップバッターを務める郷ひろみさん。若い頃と変わらず、いつもエネルギッシュな郷ひろみさんは、外見だけでなく、体内年齢も30代を保っている。64歳という年齢を感じさせない理由は、ストイックとも言える毎日。つねに「レディー・トゥー・ゴー」だという毎日を覗いてみると…!(構成=上田恵子 撮影=木村直軌)

ファンに対して全力で臨むのが礼儀

コンサートツアーやファンクラブのイベント、ディナーショーに至るまで、年間100本にのぼる公演を、もう何十年と続けています。ざっと計算すると、3.6日に1回、ステージに立っているということ。こう言うとなんだかすごいことのように聞こえますが、もう年間のペースが体に染みついているので、特別なことをしているという意識はありません。

とくに毎年恒例となっているコンサートツアーは、郷ひろみの軸であり、アーティスト活動の中で一番大切にしているもの。

ステージにおいて、もっとも危険な存在。それは「油断」です。長いツアーの途中で「あと何公演残っているのかな?」なんて考えたら最後、そういう気のゆるみは必ずパフォーマンスに出てしまう。しかも僕の経験上、ミスは一番得意なところで起こります。

たとえば「2億4千万の瞳」や「GOLDFINGER '99」「よろしく哀愁」「お嫁サンバ」のように、これまで何千回も歌ってきている曲の時に。「ここはお任せ!」と思った瞬間に足をすくわれる。なので一度ステージに上がったら、一瞬たりとも気を抜けません。

ワンステージは2時間半。よく「ひろみさんの集中力は尋常じゃない」と、周囲から言われます。ステージが始まれば、歌っているか、喋っているか、着替えているかで、息をつく暇もないと(笑)。でも僕は、それこそがエンターテイナーのあるべき姿だと考えているんですよね。

ファンの人たちは何千円というチケット代と交通費を支払い、もしかするとこのコンサートのために服を新調してくれたかもしれない。美容院でセットしてきた人もいるかもしれない。そんなふうにして足を運んでくれる人たちに対して、こちらも全力で臨むのが礼儀だと思うので。

折に触れてスタッフには、「初めて観にきてつまらないと思った人は、二度と来てくれないよ」という話をします。何度も来ているお客さんなら、たまたまつまらないステージであっても「まあ、こんなこともあるよね」と大目に見てくれるでしょう。でも、初めての人はそうは受け取らない。だからこそ僕らは「こんなものか」と思われるようなショーを作ってはいけないのです。