「常に「レディー・トゥー・ゴー」の態勢を保つには、いつでも動ける体でいるのがベスト」。この体勢でも、体はピタッと止まる(郷さん)

 

「郷ひろみは全然変わらない」と見えるとしたら

もっと言えば、世の中は時代とともに進化していきます。それについていくには、自分も変わっていくしかない。

「あの人、ずいぶん変わったね。昔はカッコよかったのに……」と言われるとしたら、それはその人が変わったのではない。変化を恐れて過去の自分にすがった結果、時代に取り残されてしまったからそう見えるのだと思うのです。

だから、もし皆さんの目に「郷ひろみは全然変わらない」と映るとしたら、それは必死で時代にしがみついて、置いていかれないよう頑張っているからなのでしょう。

そうは言っても、誰しも現状を変えるのは怖いですよね。僕も同じで、行動する前に怖気づくことがよくあります。

40代で歌手としての自分に限界を感じ、ボイストレーニングのための渡米を決めた時もそう。ちょうど「GOLDFINGER '99」が大ヒットしていたタイミングでしたから、日本を離れることへの不安は大いにありました。

でも「ここで足りないものを手に入れないと未来はない!」と勇気を振り絞って、3年間、日本を留守にする道を選んだのです。結果として、自分が求めていた声と歌のテクニックを手に入れることができたので、あの時一歩踏み出してよかった、と今もしみじみ思います。

よく「努力したけどできなかった」と言うのを聞きますが、僕は「できるまでやることが努力」だと思っています。だから途中で止めるという選択肢は、僕の中にはありません。

また、他人と自分を比べることもしません。長い人生、いいこともあれば悪いこともある。「あの人は幸せそうなのに、自分は……」とある部分だけを比較して落ち込むことに、意味があるとは思えないからです。

そして人の悪口は言わない、聞かない、人を恨まない。体の中には良いものだけを入れたいので、できるだけマイナスの感情を遠ざけるよう普段から気を付けています。