撮影:木村直軌
1998年のデビュー以来、その豊かな歌声で多くの人を魅了し続けている歌手のMISIAさん。2021年の東京オリンピック開会式で「君が代」を独唱し、『紅白歌合戦』でトリを務めるなど、日本を代表する歌手として活躍中です。『婦人公論』2022年4月号にてMISIAさんの母であり、小児科医として働く伊藤瑞子さんに、働き方や子育てについて語っていただきました。それに合わせて今回は『婦人公論』2019年9月10日号より、MISIAさんの活動に対する想いを伺った記事を配信します。音楽活動に加えて、2007年にケニアの首都ナイロビに訪れて以来、アフリカと関わり続けており、その活動は多岐にわたります。MISIAさんの根底にある平和への想いや社会貢献は、両親が医師であることも関係しているそうです。※今回の記事は『婦人公論』2019年9月10日号掲載当時の表記を活かしてます(構成=中村竜太郎 撮影=木村直軌)

紅白の舞台裏はものすごい緊張感

中村 こんにちは。昨年末の『NHK紅白歌合戦』でのMISIAさんの歌唱は、圧巻のパフォーマンスでしたね。出演して、いかがでしたか。

MISIA 紅白でNHKホールに出演するのは初めてでしたが、会場自体はライブで使ったことがあり、いつもと同じように歌を届けるという気持ちで臨みました。生音にこだわって演奏しようということになって、「アイノカタチ」「つつみ込むように…」を歌わせてもらいました。舞台裏はものすごい緊張感でしたが、初めて経験して思ったのは、良いステージを作ろうというエネルギーが溢れているということ。すごくいい活力をもらいましたね。

中村 歌う時は緊張しますか?

MISIA 緊張しますね。でも歌う前にプロデューサーが「カメラの向こうにはいろんな人がいる。番組を自宅で見ている人、家族で見ている人もいれば、入院先の病室で一人で見ている人もいる」と。それを聞いて、歌を届けたい人のイメージがはっきりと見えて、みなさんが「来年はいい年になるかも」と思えるような歌を歌いたいと思いました。だからあの時は、いつも以上に心を込めて精一杯歌いましたね。

中村 紅白ではサザンの桑田さんとユーミンの絡みが印象的でしたが、同じ舞台にMISIAさんの姿も。

MISIA はい、すごく楽しかった(笑)。ステージでは先輩方に、あっちに行くのよ、こっちに行くのよって立ち位置を教えてもらったり。でも最後はお祭りムードで、もう立ち位置とかは関係なかったかも(笑)。ステージに上がっちゃったら、あとは一所懸命やるだけですしね。