「芸歴45周年記念公演 桂雀々独演会」を開催予定の桂雀々さん(撮影:本社・中島正晶)
2024年11月20日、「上方落語の爆笑王」として人気を博し、東京を拠点に活動していた落語家の桂雀々さんが死去した。享年64。芸歴45周年記念公演を前に半生を語ったロングインタビューを再配信します。


2022年3月、大阪・新歌舞伎座で2日間にわたり「芸歴45周年記念公演 桂雀々独演会」を開催予定の桂雀々さん。今回のゲストは明石家さんまさんと立川志の輔さん、40周年には東京国際フォーラムを舞台にさんまさんと桑田佳祐さんをゲストとして迎えて開催した。雀々さんは幼い頃に両親と離別、その後は小学生の頃から笑いの才能で「コンテスト荒らし」として身を立ててきた。桂枝雀師匠にほれ込んで弟子入り、落語だけでなくテレビの世界でも活躍後、10年前に大阪から東京へと拠点を移、上方落語を広めるべく日々邁進している。(構成=丸山あかね 撮影=本社・中島正晶)

東京に出て10年、上方落語を広めたい

はい、おかげさまで芸歴45周年となりました。ありがとうございます。これもひとえに支えてくださる皆様のおかげと感謝してます。

大阪から東京へ拠点を移してから丸10年が経ちました。キャリアを積んだ? いやいや、時間というのは勝手に経つんですよ。誰だって人生というキャリアは嫌でも積んでいくわけで……。

51歳で東京へ出てきたのは自分のためとは違います。上方落語を全国に広めたいと考えてのことでした。それまで関西エリア限定のテレビ番組やラジオ番組ではレギュラーを幾つも持たせてもろてたので、すべて白紙に戻すというのはなかなかに勇気のいることではあったんですけど、挑戦してみたいという気持ちのほうが上回ってたんですね。奥さんもすんなり賛成してくれまして、体よく別居暮らしができるというので喜んで送り出してくれたんやないでしょうか。(笑)

 

落語における大阪と東京の違いとは?

来てみたら、すぐに東京の水に馴染みまして。とはいえ活動がすんなりといくとは端から考えてませんでした。アウエー感満載の中、10年くらいかけて精進しつつジワジワ―っと売れたらええかな、という計画で活動してきたんです。

大阪と東京では笑いの間合いを変えなあかんのか、という気づきがありましたね。

大阪の場合はくすぐって笑かしてと機関銃のように攻めていくと、お客さんのほうも瞬発力がありますからドカーンドカーンと笑いが起こります。一方、東京の場合はおかしみが伝わるまでに少し間が空くのが特徴的なんです。おそらく頭の中で関西弁を同時通訳するためでしょう。最初はアレっと戸惑いましたが、少しゆっくり目に話すことで折り合いをつけることができたんやと思てます。