藤 実際、「妻がいてくれなきゃひとりでどうしよう」と思いますもの。逆に考えると、相手から必要とされていないと感じるのがいちばんつらいと思う。現にね、家内がクラス会だとかいってお友だちと出かけてしまうと、家の中の空気がまるでつまんなくなるんですよ。もうホント、つまんない空間、って感じ。
倍賞 まさに“趣味は妻”ですね。(笑)
藤 うちではね、毎晩寝る前に夫婦向き合って「おやすみ」の握手をします。これ、けっこう切実ですよ。翌朝、起きてこないってこともありうるわけだからね。
倍賞 切実な年齢になりましたね。今回の映画には2018年に亡くなった星由里子さんも私たち夫婦の間に波風を立てる女性役で出演なさっています。17年の寒い時期に横浜のほうでロケをしましたが、歳を重ねられてもおきれいで可愛らしかった。あれからほどなく訃報が舞い込んで、とてもショックでした。
藤 驚きましたね。僕らもいつまでも元気でいるために、体のためになることを続けないと。うちでは握手以外に、夜寝る前に夫婦で向き合って手を取り合い、軽い屈伸運動をしているんですよ。僕らは“マサイ族健康法”と呼んでいるんですが。少しは体を動かさないとね。
倍賞 それ、いいですね。
藤 やっぱり夫婦関係にも気づかいや努力は必要かもしれない。人は歳を取ると体力がなくなってきて、足元もおぼつかなくなるでしょう? ふたりで町を歩くと、彼女は僕の腕につかまってくるんですよ。そうすれば、しっかりと歩けるから。夫婦って、寄りかかり合って生きていくものなんだと日々、実感しています。
倍賞 歳を重ねて、いろいろなことがわかってくるんですね、きっと。
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