地価が顕著に上昇したエリア
実際、どのようなところで地価が上昇しているのでしょうか。
10年前から地価が1.5倍以上となった地点をプロットしたのが図表1です。
この10年で地価が1.5倍以上となった地点が地域にまとまって広がっているのは、東京23区内とともに、札幌市、仙台市、名古屋市、京都市、大阪市、福岡市といった拠点エリアでした。まさに国から「都市再生緊急整備地域」に指定され、民間主導の再開発がさかんに行われてきたエリアとぴったりと重なっています。
「都市再生緊急整備地域」とは、都市の再生の拠点として、都市開発事業等を通じて緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域として国が指定する地域のことです。これは、2002年に制定された都市再生特別措置法という法律に基づいて創設された制度です。
都市再生特別措置法は、バブル経済崩壊後、経済が低迷し、多くの不良債権が発生したことから、主として不動産の流動化、経済対策の一環として制定されました。いわば、国が特定の地域を特区的に指定し、民間活力を活用して都市を再生させようというものです。
都市再生緊急整備地域に指定されると、民間開発事業者は、メリットとして容積率などの規制緩和や事業認可等の手続期間の短縮、財政支援や金融支援、税制上の優遇措置が得られる仕組みとなっています。
2002年以降、民間の開発事業者にとって多くの収益が見込めそうな、いわば需要があるエリアを中心に大規模な再開発が旺盛に行われました。そして、それが更にその周辺地域の開発を誘発し、地域全体で地価が上昇していったと考えられます。