「二重三重にトラブルを回避する手段を考えてあるので、絶対に失敗はありません。」

ショーでは、子どもからお年寄りまで、また、どんな国や文化の人でも楽しんでいただけるように、常に多角的な視点からステージを見つめて構成を考えています。

「ここで動くはずだった機械が作動しない」など、万が一、予期せぬトラブルが起こった場合でも、「AがダメだったらB、BがダメだったらC」と、二重三重にトラブルを回避する手段を考えてあるので、絶対に失敗はありません。

ステージに上がる前に、他のマジシャンやイリュージョニストの方は地面にキスしたり、胸の前で十字を切ったりすることが多いですけど、私は何もやりません。ステージには左足から出たほうがいいなんて言われますけど、右足から出ても成功していますし(笑)。そもそも、人前に出ても「あがる」とか「緊張する」ということが、子どもの頃からまったくない性格なので、ジンクスは特に必要ありません。

その代わりというわけではないですが、世界のさまざまな土地に行ったとき、邪気を浄化してくれるような場所は訪れます。たとえばハワイではガイドの方に、観光客が行かないようなスラム街に連れて行かれて。そこには地元でも知る人ぞ知るという、パワーをもった樹がありました。両腕で幹を抱きしめてからステージに上がりましたね。

こうして、物理的にも精神的にもステージに力を注いでいることと、世界中の人から「最も縁起のいい日本人」と思われているおかげで、普通では簡単に会えないような方にも「一度会ってみたい」と言っていただけるのかもしれません。

「頑張っているから」と軍用犬をプレゼントしてくれたロシアのプーチン大統領、中国政府からは、「国を挙げて応援するから中国人にならないか?」と勧誘されましたし、パトリック・ルイ・ヴィトン(創始者ルイ・ヴィトンの5代目直系子孫)は、「脱出用の箱を設計してあげる」と申し出てくれたり……。アラブの王様の誕生日に、「テンコーのショーを観たい」と呼ばれたこともありました。