亡くなったらXで発信してほしい
たくさんの方にXをフォローしていただいていることも、本を出していることも知ってはいたのですが、日本に戻ってみるまで、母の晩年の活躍ぶりが実はピンときていなかったのかもしれません。書店に出かけると母の本がたくさん置いてあり、そこには追悼の言葉も添えてありました。
部屋に明かりがついていないと連絡くださった方も、母より20歳ほど下の、もとは読者のひとりだったのだとか。夫の死後、寂しくて落ち込んでいるとき母の本を読んで元気づけられ、ご近所ということもあって交流が始まったと聞きました。
緊急時の連絡係をかって出てくださり、私とはLINEの交換もしていました。結果的に母の異変を早く知ることができたのですから、感謝しかありません。
葬儀には母の古い友人、知人も集まりましたが、母が80歳頃から新たに築いた人間関係が多いことに驚きました。高齢のひとり暮らしだから、人との繋がりを大事にしてきたということもあるでしょうが、それだけではなく、母が最後まで人生を楽しんだという証でもあることが嬉しかったですね。
エンディングノートには私への感謝の言葉とともに、亡くなったことを自分のXのアカウントから発信してほしい、とも書かれていました。Xでの皆さんとの交流を、母が大切にしてきたことが伝わってきましたし、希望通り、母が亡くなったとお知らせしたところ、たくさんの反響があり、私のほうが驚いてしまって。
生前、もっと褒めてあげればよかったなあ、と思います。母の暮らしたこの部屋でそんなことを考えて、今さらながらに悔やんだり。私たちは仲のよい母娘でしたから、話もたくさんしましたし、遠慮なく相談し合える関係でした。
でも褒め合うようなことが、お互い苦手だったんだと思います。考えてみれば、私も母からあまり褒められたことはなかったですし。
よそでは母をちょっぴり自慢するような話をしたこともあったのに(笑)、なぜ直接「すごいね!」と言ってあげられなかったんだろう。それが今、一番の後悔です。