「定年」「還暦」という言葉に惑わされない
順天堂大学で便秘外来を開設してそろそろ30年になりますが、患者さんを診ていて明らかなことが一つあります。
年齢的には60歳以上の方が圧倒的に多いのですが、特に60歳を境に急に増える傾向があるのです。とくに男性は顕著で、私は「定年」が暮らしに影響して、便秘になる患者さんが増えているに違いないと思わざるを得ません。世の中から「定年」という制度がなくなれば、皆さんもっと生き生きとして、健康的になるのではないかと思います。
自律神経は気持ちの持ち方一つで影響を受けますが、この「定年」という言葉のイメージが、どうも自律神経にはよくないような気がしています。元気な方でも、この言葉のイメージにある意味洗脳されて、自動的に限界をつくってしまっているように思えて仕方ありません。
私も数年前に「還暦」を迎えましたが、この「還暦」というのも同じで、同級生たちを見ているとどうも寂しい感じがします。「俺ももう還暦だから、人生これで終わっちゃったな」とか「還暦過ぎたんだし、余生はゆっくり過ごしたい」など、どうも終わりの節目として使われているように思えます。