公正証書遺言と自筆証書遺言の違い
皆さんご存じのように、遺言には公証人が作成する「公正証書遺言」と遺言者が作成する「自筆証書遺言」の2種類があります。
厳密にいえばもう一つ、「秘密証書遺言」というのもありますが、あまり一般的ではないのでここでは自筆と公正の2つを説明します。
遺言者が自身の意思を口頭などで伝え、公証人が文章をまとめて作成するのが「公正証書遺言」です。
法務省が管轄の公的機関である公証役場で、法務大臣から任命された法律の専門家である公証人が作成するため、必要な事項について慎重なチェックがなされ、確実性が高いのが魅力です。
ただ、遺言者本人が公証役場まで出向かないといけないという物理的な負担と(なお、健康上の理由等の特別な事情がある場合は、別途料金がかかりますが、公証人が遺言者のご自宅や入居先施設等へ出張して対応することもあります)、公証人に作成してもらう遺言書の草案について弁護士や司法書士、行政書士等に作成を依頼する場合は専門家への報酬がかかりますし、公証役場への手数料などの費用も発生します。
高齢になって体力も気力も落ちてきた中で、外部を巻き込み、公正役場まで行くのは敷居が高い――、と感じる人も少なくないと思います。
しかし公的機関で作成したものであるゆえに偽造や紛失の恐れもなく、「検認(けんにん)」の必要がないというメリットがあります。
一言でいえば、作成のハードルが高いものの、公的機関が関与するので、安全確実な遺言の方法とされているものです。