80代は「かりそめの老い」だった
樋口 それにしても自分が92歳まで生きるとは、ちょっとビックリしています。80歳になった時、ついに自分も本格的に老いてしまったと思ったのですけれど、まだまだ先があったのですよねぇ(笑)。今にして思えば80代前半は「かりそめの老い」でした。
鈴木 私もできなくなってきたことがちょっと増えてきたなという感じです。80代はそれまでと変わらない生活を送ることができましたけれど。
樋口 昔ね、女性初の国会議員として活躍なさった加藤シヅエ先生が「90代になりますと、立っているだけでフワーっと転ぶことがあるのですよ」と話しておられて、当時、私は60代でしたので、おっしゃっていることがよくわかりませんでした。ところが私も80代の後半に同じことを体験して、加藤先生が話しておられたのはこういうことだったのかと思いましたよ。
鈴木 立っているだけでフワーッと転んでしまわれたのですか?
樋口 自宅の玄関の入口に立っていたら、風もないのにフワーッと転びまして、玄関のたたきに顔面を打ち付けてしまったのです。顔面に青や紫の痣ができて、痛いやら醜いやらで大変な目に遭いました。思えばあれが私のヨタヘロ期の始まりでした。
※本稿は、『なにがあっても、まぁいいか』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。
『なにがあっても、まぁいいか』(著:樋口恵子、鈴木秀子/ビジネス社)
物忘れがひどくなっても、足腰が痛くても、嫌な気分で生きるなんてもったいない!
ちゃっかりバアさんを目指しましょう!
92歳の2人に学ぶ、毎日を機嫌よく生きるヒント。