内閣府が公表する「令和6年版 高齢社会白書」によると、令和19年には国民の3人に1人が65歳以上になると見込まれているそうです。超高齢化社会の中、92歳の評論家・樋口恵子さんは「ある時期から嫌な気分を引きずって生きるなんて、なんともったいないことだろうと考えるようになりました」と語っています。そこで今回は、92歳の聖心会シスター・鈴木秀子さんとの共著『なにがあっても、まぁいいか』より、毎日を機嫌よく生きるヒントの一部を、お二人の対談形式でお送りします。
老いても子には従いたくない
樋口 何しろ私は娘に頼みごとをするのが嫌なのです。頼めば一応はやってくれるのですけれど、それだけでは済まなくて「もっとしっかりしろ」だの「こうしたほうがいい」だの、いろいろと言ってきますので。
「老いては子に従え」という諺がありますけれど、私は老いても子には従いたくないといった心持ちでして。シスターはどうお考えになりますか?
鈴木 私には子供がおりませんから、喧嘩をしながらでも支えてくださる娘さんがいらっしゃるなんて、羨ましいくらい。
でも子供とはいっても立派な大人。親が80代、90代になれば子供だって60代、70代になるわけですから、親との力関係は逆転して当たり前ですよね。いつまでも親任せでは困るということを考えれば、頼りがいのある子供でよかったのではないですか?
樋口 私達の世代は、子供が親に意見したりするなどというのは言語道断だっただけに、自分が子供に意見されたりすると何だか情けなくなってしまうのです。
でも昔の人が特別に偉かったというのでも、教育がきちんとなされていたというのでもないという気がいたします。昔は人生50年といわれていました。つまり親子の力関係が逆転する前に親が死んでいたということなのかもしれません。
鈴木 親子の力関係が逆転し、長期化するというのも人生100年時代ならではということですね。