整形外科医が惜しんではいけない手間
2つ目は、治療としてやたらに注射を推奨するタイプです。
注射自体はとても大切な治療手段です。しかし、流れ作業のように「今日もひざの注射ですね」とベッドに寝かされ、会話は一言、二言。「また来週ですね」で終わる整形外科があります。患者さんは一人ひとり別の人間です。このようにベルトコンベアで大量生産するようなスタイルが合うわけがありません。
ただし、例外もあります。たとえば、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の定期注射などは、副作用の確認さえできれば、流れ作業のように短時間の診療時間で必要な治療だけ受けられることはメリットになります。
ですが、痛みの治療においては、症状の改善があるかどうかを丁寧に把握しながら、今日も注射するのか、しないのか、他の治療に切り替えるのか、などを考える必要があります。その手間を整形外科医は惜しんではいけないと思います。