〈発売中の『婦人公論』2月号から記事を先出し!〉
4年ぶりにアメリカ大統領の座に返り咲いたトランプ氏。ヨーロッパや中東では紛争の収束が見えず、中国や朝鮮半島の情勢も楽観視できないなか、世界情勢はどうなっていくのか。日本への影響は? 大国アメリカと中国社会の読み解きを入り口に、専門家たちが2025年の動きを予測する(構成=古川美穂 撮影=本社・武田裕介)
4年ぶりにアメリカ大統領の座に返り咲いたトランプ氏。ヨーロッパや中東では紛争の収束が見えず、中国や朝鮮半島の情勢も楽観視できないなか、世界情勢はどうなっていくのか。日本への影響は? 大国アメリカと中国社会の読み解きを入り口に、専門家たちが2025年の動きを予測する(構成=古川美穂 撮影=本社・武田裕介)
女性初の大統領が 誕生しなかった理由
安藤 今日は現代アメリカの政治を研究している渡辺靖さんと、中国を含めたアジア事情に精通しているジャーナリストの中島恵さんという、それぞれのエキスパートにお話を伺うのを楽しみにしてきました。
渡辺 昨秋の大統領選は異例ずくめ。その辺のことを中心にお話しできればと思っています。
中島 私の場合は中国の政治や外交といった大きなことより、一般の人々の声や街の様子などミクロなことに主眼を置いて取材を続けてきました。今日はそうしたなかからお伝えできることがあればと思います。
安藤 では、まずは何といっても日本にとっても影響の大きなアメリカ大統領選挙から。今のアメリカ社会を理解するためにも、ドナルド・トランプ氏が再選された背景を知りたいです。
日本では接戦と報道され、終盤ではカマラ・ハリス氏が優勢のようにも伝えられていました。渡辺さんに伺いたいのですが、なぜハリス氏は負けたのでしょうか。女性に対する偏見、いわゆる「ガラスの天井」がまだ存在するという声もあります。
渡辺 ハリス自身の属性は直接敗因にならなかったと思います。実はトランプは決して強い候補者ではありませんでした。4度訴訟を起こされ、弾劾裁判にかけられていた。
しかし選挙前にバイデン政権の支持率は相当落ち込み、アメリカ人の7割ぐらいが「アメリカは間違った方向に行っている」と考えていました。副大統領のハリスはその連帯責任を問われるなかで戦わざるをえなかったのは大きい。
安藤 そうですね。私も女性だから、マイノリティだから負けたとは思いませんでした。