安藤 暮らしで精いっぱいというところは、アメリカとよく似ていますね。

渡辺 一国のなかでもニューヨークやロサンジェルスのような都会と地方はまったく別物の精神性が支配していて、暮らしのあり方も全然違います。

中島 中国で北京や上海のような都市部と農村部が驚くほど違うように、アメリカも地域格差が大きいのですね。

安藤 まさしく。都市部の人たちの意識がアメリカを代表していると思ったら大間違い。

渡辺 アメリカ国民の政府への信頼度というチャートを見ると、1960年代には70%近くが政府を信頼している。しかし2010年ぐらいからは20%台に落ちているんです。

安藤 かつての3分の1ぐらいなのですね。

渡辺 だからトランプぐらい強権的な人物でないと、この硬直したシステムは変えられないと考える人も出てくるわけです。

社会がどんどんリベラルになっていくなかで、それを面白く思っていない人たちは一定数いる。今のアメリカ社会の反動は、そういう一見粗野な動きとなって出てきていると感じます。

後編につづく

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