移住関連の図書や新聞記事は2010年代中頃から2020年代前半に急増
図表1は、地方移住を扱った図書数をグラフ化したものです(注1)。「地方移住」に限ると、2010年代後半から数が急増していることが読み取れます。一方で地方移住に類する他のキーワードも見てみると、最も多く登場している「田舎暮らし」が1990年代後半から、「Iターン」や「Uターン」は2000年代から2010年代にかけて増えていることがわかります。
一方、新聞における移住関連記事の増減を調べた研究によると、日本では1970年代以降断続的に移住関連記事が登場し始め、現在まで波を描きながら右肩上がりで記事数が増加してきました。
特に、団塊の世代の大量退職に期待が高まった2007年前後、まち・ひと・しごと創生(地方創生)が始まった2014年、2015年頃、そして新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起きた2020年、2021年頃に記事数が急増しました(注2)。しかし関連図書と同じく、関連記事もキーワードによって増減の程度は異なります。
これらの結果から、移住関連図書・記事は、キーワードによって増減や関心の程度に違いがあり、ブームと呼べるかもキーワードによって異なるという結論が導き出せます。
注1: 国立国会図書館サーチを使用し、地方移住、田舎暮らし、Iターン、Uターン、Jターンの5つの語句を含む図書を検索した結果。
注2: 伊藤将人「戦後日本における地方移住政策の登場と変遷―政策的移住促進というアイディアと人材としての「移住者」への期待―」一橋大学大学院社会学研究科博士論文.