(写真提供:Photo AC)
内閣府が令和5年に公表した「第6回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によると、東京圏在住者のうち地方移住に関心があると答えた人の割合は35.1%だったそう。そのようななか、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター研究員、講師の伊藤将人さんは「『地方移住がブームです』という言説自体が、地方移住ブームを構築している側面があるのではないか」と指摘しています。そこで今回は、伊藤さんの著書『数字とファクトから読み解く 地方移住プロモーション』より一部を抜粋してお届けします。

「いま、地方移住がブーム」ではなく、「30年以上前から地方移住への関心は高い」

いま、地方移住はブームなのか?

「いま、地方移住がブームです!」「近頃、地方移住が人気です」――こういった言説は何度も見たことがあるでしょう。

しかし果たして、地方移住は本当にいまブームなのでしょうか? ブームだとすれば、それはいつ頃からなのでしょうか? ブームだからと言って、その波に乗って移住促進施策に力を入れてよいのでしょうか?

「ブーム」とは、ある物事がにわかに注目を集め、急速に人気の対象となることを意味する言葉です。“地方移住がブーム”と言うときには、大きく3つのパターンが考えられます。

1つ目は地方への転入者数や移住者数が急速に、もしくは一時的に増加すること。2つ目は地方移住に関する記事やコンテンツが人気を集めたり、増加したりすること。3つ目は「地方移住がブーム」といった旨の言説が各種メディアに登場することです。ここでは2つ目と3つ目について検証してみましょう。