照れる芸
― 師匠と共通点がありますね。ご自分のキャラクターをお作りになったところとか。まさに萩本さんも東京の人ですよね。東京のにおいがお二人ともするっていうか。芸も東京風っていう感じがします。
K なんだかいつも照れちゃってるんですよね。
― あれ、やっぱり東京の人ですよね。照れる芸って。
K そうなんですよ。なんか、こんなことやってもいいのかなって思いながらやってるっていう。
― 確かに。師匠も随所、随所、高座でも照れますよね。
K やっぱりね、なんか恥ずかしくて。
― 立川談志師匠も照れるんですよね。何なんですかね。あの中でこういう芸がでるっていう。萩本さんと対談して何か感じるものがありましたか?
K 萩本さんは、対談していてもいつも恥ずかしそうでね。照れてらっしゃる。ぼくが「萩本先生」って言ったら、「いや、やめてくださいよ。では木久扇仙人って言わなくちゃいけない」って。「呼びにくいから欽ちゃんでいいですよ」って。それで対談がはじまったんです。すごく貴重でした。いろんな番組を降りちゃった欽ちゃんですから、ぼくが「笑点」を卒業したんで、それにひっかけた対談名は「卒業」だったんです。今、萩本さんが司会をやったっていっても日テレの仮装大賞くらいでしょ。だからそれを言ってらした。
※本稿は、『木久扇の昭和芸能史』(草思社)の一部を再編集したものです。
『木久扇の昭和芸能史』(著:林家木久扇、林家たけ平/草思社)
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昭和100年を目前に芸能史に詳しい林家たけ平がインタビュー。