夢と消えた「ダブル横綱誕生」
大相撲初場所は11日目を終え、大関の琴櫻と豊昇龍での「ダブル横綱誕生」という新時代の幕開けは夢と消えて、平幕の活躍と大混戦で千秋楽に向かっている。
11日目を終えて、1敗はカザフスタン出身の前頭14枚目・金峰山。同日、金峰山は大関・大の里を突き倒し、大の里は4敗になった。2敗を守ったのは、前へ出る力と落着きが出ている前頭3枚目・王鵬。3敗は大関・豊昇龍、元大関で前頭筆頭・霧島、前頭5枚目・千代翔馬、昨年春場所で優勝した前頭11枚目・尊富士だ。
星のつぶし合いになってきたので、ノートに勝敗を書いているが、ややこしくなり、脳トレ状態になってきた。さらに優勝予想となると、その力士の精神面、得意技、対戦相手の状態を考えて、後半の大相撲は高度な脳トレになると確信した。
先場所初優勝した琴櫻は、2日目から5連敗して11日目まで5勝6敗というまさかの成績。11日目のNHKテレビの正面解説の琴風さん(元大関・琴風)は、横綱昇進を意識してしまうことを「呪縛」と表現。前半の琴櫻はその呪縛で体が固まってしまったようだった。
11日目の向正面解説は、力士の時にお辞儀が美しかった(今も美しいと思う)錣山親方(元小結・豊真将)である。前日の10日目の幕内取組前に『師の教え〜寺尾 先代錣山親方の教え〜』というのが放送され、錣山親方が、亡くなった先代錣山親方(元関脇・寺尾)がたびたび語っていた言葉が紹介された。「負けても腐るな」である。まさに琴櫻への言葉のようだった。
一方、豊昇龍は、先場所の千秋楽で琴櫻に負けて1敗差で優勝を逃した。今場所はその悔しさを、にらみの顔とキビキビした動作で表現して相撲を取っている。しかし、負ける時があっけなくて、豊昇龍のファンも悔しい思いをしていることだろう。12日目に金峰山を倒して、大関の強さを披露しなくてはならない。