<今月のひとこと>

大事な存在

帝劇の公演中にしょっちゅう行っていたのは裏方さんたちの部屋です。舞台には出ないけど楽屋に戻る時間はない、というくらいの合間に、照明さんの調光室から舞台を観たり、大道具さんや小道具さんが待機している部屋に行ったり。終演後にそこで一緒に一杯飲むこともあったね。

ほとんどのスタッフが定年まで勤め上げるから、『ミス・サイゴン』の初演から数えると、皆さんとの付き合いも30年あまり。当時は新人だった子が、今では大道具の棟梁になっていたりする。

照明部には、帝劇に出るといつも僕にピンスポットを当ててくれる女性が2人いて。彼女たちも新人時代からの付き合いになるね。

この間の『モーツァルト!』の時に、僕が出演する帝劇最後の作品だからと、初めて3人で一緒に食事に行きました。表には出てこないけど、僕らを支えてくれる大事な存在なんです。