2013年のNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』で、作中の歌唱シーンが注目された時は嬉しかったです。
それと同時に、複雑な思いもありました。いろいろな方に「運がよかったね」と言われて、たしかにドラマをきっかけに私のことを知ってくださった方も多いので、運がよかったのは紛れもない事実。
ですが、その時は実はポジティブにはなりきれませんでした。なぜなら、それまでミュージカルで主役を演じたりしてきたのに、ミュージカル俳優の認知度は低いんだ、と思い知らされたからです。
ミュージカルの舞台は、一部のファンの方々によって支えられているようなところがあります。でも、私はもっとたくさんの人に魅力を知ってもらいたい。そのためにもテレビに出て、自分自身の知名度を上げていきたいと、気持ちが引き締まりました。
その後、さまざまなドラマに出させていただくようになったら、ドラマには舞台とは違う面白さがあると実感。映画に出演させてもらえば、「映画ってこんな世界なんだ」とまた感動して――。
それまでとは違うお仕事をすると新鮮ですし、知らない自分を発見できるのも面白い。常に新しいことに出合っていたいんです。