僕が持っているのは「めんどうな運」

幼稚園の頃に、地元・名古屋でスカウトされたこともある三山さん。当初芸能界には興味がなかったものの、中学生の頃に第一線で活躍する俳優をテレビで見て憧れるようになったという。俳優事務所に所属後、ドラマや映画、舞台で研鑽を積み、21年にボーイズグループ発掘オーディションに参加。見事勝ち抜き、BE:FIRSTとしてデビューを果たした。

――僕は周囲から「運がいいね」とよく言われます。自分としては、確かに運はいいけれど、持っているのは「めんどうな運」ではないかと(笑)。とんでもなくいいことも起こるけれど、経験しなくてもいいようなつらいことも起こる。良くも悪くも振り幅が大きい人生だと感じています。

なぜなんだろうと考えてみたのですが、それは多分、僕が目の前にあること一つひとつに向き合い、行動せずにはいられない人間だからだと思うんです。その中にはポジティブなこともあればネガティブなこともあって、その両方を引き寄せてしまっている。

何もせず、ただ静かに過ごしていれば失敗もないのでしょうが、そのぶん掴めるチャンスの数も少なくなるはず。事実、自分が「こうしたい」と思ったことは今日まで全部叶えてきました。――叶うまで努力し行動してきた、というほうが正しいでしょうか。

かなりエネルギーを消耗する生き方ですが、それが僕の人生ですし、これからもそうやって生きていくのだと思います。

「言霊」も意識していて、今後やりたいことを含め、「自分はこういう人間で、こんなことを考えています」と、できるだけ口に出すようにしているんです。

芸能界では、イメージが独り歩きすることがよくあります。昨日も取材で「三山さんはすごく元気な人だって聞きました!」と言われて(笑)。どうせならいいイメージが広まってほしいので、自分から積極的に自分のことを言って歩くようにしています。

また、転ぶことも多いけれど、ただでは起きたくない。たとえば、今回主演させていただいた映画『誰よりもつよく抱きしめて』で、僕は強迫性障害による潔癖症に悩む青年の役を演じています。

難しい設定ですが、ちょうどこの撮影期間中は、初めてというくらい、個人的にいろいろなことを深く考えている時期だったんです。これが幸いして、自然に役に入り込むことができた。

捉え方ひとつでネガティブな時期もポジティブに変換できるし、さまざまな感情が芸の肥やしになるのだと、身をもって感じた現場でした。