厚生労働省の「令和5年(2023)人口動態統計(確定数)」によると、死因順位の第5位は肺炎、第6位は誤嚥性肺炎で、両者を合わせると全体の8.6%を占めるそうです。そのようななか、医学博士で呼吸器専門医の大谷義夫先生は「大きな傾向を見れば、肺炎で亡くなる高齢者は増えていますし、年齢が高くなるほど亡くなる人の数も増加します」と指摘しています。そこで今回は、大谷先生が肺炎・誤嚥性肺炎を防ぐためにできることをまとめた著書『「よくむせる」「せき込む」人のお助けBOOK』より一部を抜粋してご紹介します。
むせたり、せきをしたりするのは心配ないが、頻度や回数が増えてきたら要注意
食事をするとき、むせたり、せき込んだりするのが気になるという質問を受けることがありますが、これは病気ではありません。
食べ物や飲み物は口から食道に入るのが普通ですが、飲み込むときに誤って気道に入ることがあります。これを「誤嚥(ごえん)」といいます。
でも心配いりません。誤嚥したときには、せきをすることによって、気道に入った飲食物を気道の外に出そうとします。これを「せき反射」(後述しますが、せき反射は飲食物以外でも起こります)といいます。
なお、「むせる」も気道に飲食物が入ったときのせき反射を表す言葉なので、本記事で「せき」というときは、「むせる」を含んでいることがあります。