エンターテインメントの意味
振り返れば、昭和の価値観と昨今の価値観には、とてつもない隔たりがある。世の常識はグローバルスタンダードにならい、コンプライアンスも厳しくなった。
昭和から始まった日本の芸能界も“大”変革期だ。そもそも、エンターテインメントは、世の中が非常事態に見舞われているとき、いったいどんな意味を持つのか。命に向き合う大変な日々においては、必要不可欠なものとは言いがたく、なくなってもまったく誰も困らない。平和な日々にこそ、芸能の世界はキラキラと美しく輝けるのだ。
しかし、そうはいってもエンターテインメントやショービジネスは、確実に人の心を動かし、豊かにする。時代につれて刻々と装いが変わってきてはいても、人々の心に潤いを与える素敵なものであるのは間違いないはずだ。
これからの未来がどうなっていくのか、それは誰にもわからない。芸能しかやってこなかった僕自身も、多くの矛盾を抱え、不安の只中(ただなか)にいる。長寿時代の渦中にいて、まだまだ向上心があり、やりたいことも、もっとうまくなりたいと思うことも、心の中にくすぶっているからだ。
僕はこれからどんなふうに、異なる世代の人々と関わり、生きていくのが素敵なんだろうか。