体操はいつでもどこでも適当に

体操には、こわばって硬くなった筋肉や関節をほぐす効果があります。さらに全身の血行も改善し、気分もリラックスして心身ともに健康になれます。いくつかの種類がありますが、それぞれ目的の部位をほぐしたり鍛えたりするものや、全身をリラックスさせるための体操もあります。

体操に絶対にこれがよいというものはありません。例えば、日本整形外科学会と腰痛学会が編纂した腰痛ガイドラインでも、腰痛体操は慢性腰痛に効果的だが、体操の種類にはよらない、頻度も回数も不明となっています。つまり、腰でもそれ以外でも、まずは腰や体を動かすことが大切なのです。

『健康寿命をのばす! 整形外科医のカラダの痛み相談室』(著:井尻慎一郎/創元社)

複雑で時間のかかる体操は面倒で長続きもしないので、もとから選ばないほうが無難です。いつでもどこでも思いついたら背伸びをして、体を左右前後に動かす、これだけで十分です。1日何回とか1回何分とかも考えません。1日数回、1回に10秒でも20 秒でも「適当」でOKです。

テレビで紹介されている体操を真似して関節や筋肉を傷め来院する患者さんがいますが、年齢も体の状態も皆それぞれ違うのですから、自分流にアレンジして、できそうな部分、安全で楽な部分だけを選んで動かすほうがベターだと思います。