血の巡りを左右する自律神経の働き

冷えのタイプは大きく4つに分けられると渡邉先生は言います。

「1つ目は、十分な熱を生み出すことができない、熱エネルギー不足タイプ。2つ目は、血巡り停滞タイプで、肩こりや頭痛に悩まされる傾向があります。3つ目は、ストレスや緊張から自律神経のバランスが乱れるストレス冷えタイプ。常に交感神経が高まり、血管が収縮するため冷えを感じます。4つ目は、リンパ液など体液の循環が悪い、水むくみタイプで、余分な水分が体を冷やし、血流も圧迫されがちです」

血液は全身に栄養と酸素を運び、老廃物を排出する大事な役目を担っています。冷え症の人は、疲れやすい、髪や肌が荒れる、胃腸が弱い、頭痛が続くなど、複数の不調に悩まされるケースが少なくありません。

「基本の対策は、十分な熱を生み出し、血流調節を担う自律神経のバランスを整えて、全身にくまなく熱を運ぶことです。まず朝は、タンパク質が豊富な温かい朝食で熱エネルギー源の補給を。代謝がアップして睡眠中に低下した体温が上昇し、活動性を高めます」

日中は、体を締め付けない衣類で、しっかりと手首、足首、襟元の保温を。また、適度な運動で体がポカポカ温まることで、こりや緊張も解消できます。

「夜は、昼間に優位な活動系の交感神経から、休息系の副交感神経へ切り替わるよう、心身をほぐしましょう。末梢の血管まで開いて手足が温まり、反対に深部体温は少し下がって、良質な睡眠をとることができます。ストレッチや深呼吸、ぬるめのお風呂、リラックス系の音楽やアロマなどを利用すると効果的です」

小さな生活習慣の積み重ねで平熱もじんわりアップ。次ページから、タイプ別に冷え対策を紹介します。
 

自分の「冷え」タイプを知ろう

冷えのほかに気になる症状は?該当する項目の多いものがあなたのタイプです。

【タイプ1】熱エネルギー不足タイプ

 □だるくて朝起きられない
 □胃腸が弱く、食が細い
 □ほとんど運動しない
 □皮下脂肪は少なめ


【タイプ2】血巡り停滞タイプ

 □眼の下にすぐクマができる
 □頭痛・肩こりがひどい
 □いつも便秘気味
 □指先やかかとが荒れやすい


【タイプ3】ストレス冷えタイプ

 □のぼせやすい
 □喉が詰まっている感じがある
 □イライラしやすい
 □寝つきが悪い


【タイプ4】水むくみタイプ

 □顔、手足がむくみやすい
 □下腹を軽くたたくとポチャポチャ音がする
 □下痢をしやすい
 □めまいや耳鳴りがある