イラスト=おおの麻里
1〜2月は1年で最も寒い時期。冷えが慢性化すると、血液循環が悪くなり、さまざまな不調を招きます。そこで、冷えのタイプに合わせて体を温める方法を伝授。自分にぴったりの対策を見つけて、厳冬を乗り切りましょう!(構成=渡部真里代 取材・文=大田由紀江 イラスト=おおの麻里)

手足など末端が冷えるのは深部体温を守るため

「冷え症」とは、手足の先や腰など体の一部、または全身が冷えるつらい症状のこと。麻布ミューズクリニック名誉院長の渡邉賀子先生は、2つの原因があると言います。

「1つは体を温める熱エネルギーが十分作られていないこと。もう1つは、熱量は足りていても、熱を運ぶ血の巡りが悪く、体のすみずみまで行き渡らないことです」

体温を維持する熱エネルギーの源は、食事から摂ったタンパク質や脂質、糖質などの栄養素。消化・吸収・代謝の過程で熱が発生し、1日にできる熱量の約6割は筋肉で作られます。そのため食が細かったり、運動習慣がなく筋肉が少なかったりすると、熱量不足に。

また、体内で発生した熱は、血液によって全身に運ばれますが、巡りが悪いと全身に行き渡らない場合があるのです。

「よく誤解されるのですが、冷え症だからといって、必ずしも体温が低いわけではありません。生命維持のために働くさまざまな酵素は、約37℃で最も活性化するため、内臓のある『深部体温』は誰でもおおむね37℃に保たれています。腋や舌の下で測る体温は深部体温に連動しており、平熱が36℃以上あれば問題ナシ。36.5℃以上なら、なお安心です」(渡邉先生。以下同)

寒い環境では、深部体温を維持するため末梢や表皮の血管が熱を逃がさないようギュッと縮まり、温かい血流が体の中心部に集中します。そんな状態では、足先の温度は32℃、血流は3分の1近くまで低下することもあるようです。