与えられることに慣れた子どもが失うもの

与えられることに慣れた子どもは、大人から手をかけられればかけられるほど、大切なものを失っていきます。

それは、「自律」です。そう、自分で考えて行動する力です。

自律を失った人には、ある特徴が見られます。なにかうまくいかないことがあると、必ず人や環境のせいにするのです。

・勉強がわからないのは「先生の教え方が悪い」「塾が悪い」から
・クラスがうまくいかないのは「担任の先生がハズレ」だから
・毎日が楽しくないのは「学校がつまらない」「親が嫌い」「友達がイヤ」だから

君は、どうですか?

『考える。動く。自由になる。-15歳からの人生戦略』(著:工藤勇一/実務教育出版)

人はサービスにあまりにも慣れすぎると、自分勝手に理想をつくり、その理想と現実を比べて、だんだん不満だらけになっていくものです。

そうなったとき、僕たちに欠けてしまっている大切なものがあります。

それは「当事者意識」です。君にとって、初めて耳にする言葉かもしれませんね。

当事者意識を言いかえると、問題やテーマに対して「自分が解決する/自分が行動する」という「自分ごと意識」のこと。

自分が生活しているクラスも学校も、そして社会も、本来は誰もがそれらをつくっている当事者です。

ところが残念なことに、その規模が大きくなればなるほど、当事者意識は弱まってしまいます。クラス全体が5人しかいないのと30人いるのとでは、クラスに対する意識の持ち方は違ってきますよね。それと同じことです。

いまの日本社会の最大の問題は、「当事者意識が欠けてしまったこと」に多くの人々が気づいていないことかもしれません。