(写真提供:Photo AC)
松坂桃李さんが主演を務める日曜劇場『御上先生』。「学校教育監修」としてクレジットされている横浜創英中学・高等学校校長の工藤勇一先生は、子どもたちが自由に生きていくための学校改革を積極的に行ってきました。これからの時代を生きていく子どもたちを、大人はどのように見守っていけば良いのでしょうか?今回は、工藤先生が子どもたちに向けて書いた著書『考える。動く。自由になる。-15歳からの人生戦略』から、工藤先生の“人生の授業”を一部お届けします。

「**のせい」が口グセになっていたら要注意

日本では、国民の政治に対する関心が低いことがたびたび問題として取り上げられますが、選挙の投票率はますます下がるばかりです。

その一方、テレビやインターネットでは政治に対する批判の山。政治家でさえ、与党も野党も批判合戦をくり返しているありさまです。

新型コロナウイルスへの対応も、私たち大人は常に「受け身」だったのかもしれません。自分の頭で考えず、国や自治体ばかりに要求を突きつけ、都合のよい外国と比較しては、マスコミも含め批判ばかりしていたように感じます。

日本はなぜ、このような「ものごとを人のせいにする社会」になってしまったのでしょうか。

原因はいろいろ考えられますが、一言に集約すれば、「みんながあまりにもサービスを受けることに慣れすぎてしまったから」だと僕は考えます。

日々、さまざまな場所で受けられる日本のサービスは、とても快適です。一人ひとりをお客様として扱ってくれます。

それは、もちろん悪いことじゃありません。ただ、人間はサービスを与えられ続けると、次第にそのサービスに慣れていく生き物です。そして、より良いサービス、より高いレベルの「おもてなし」を求めるようになっていくのです。

同じことが、教育の現場でも起きています。

・幼少期から親が手取り足取り教え、壁にぶつかれば手を差しのべる
・早期教育など、いいサービスを少しでも早く受けさせれば子どもの学力が上がると勘違いしている