小さな自己決定

とはいえ、そこでなかなか答えが出てくるものではありません。せいぜい「別に……」とぶっきらぼうに答えるのが精一杯です。

そんなときは、助け船となる選択肢を示してあげるようにしています。

「そうだなあ。別室を用意してあげることくらいはできるけど」

「だから、君はどちらかを選べるよ。いまから残りの時間を我慢して授業を聞くこともできるし、僕の用意した別室ですごすこともできるけど、どうする?」

などと声をかけます。

すると「じゃあ別室に行かせてください」などと言うので、そこでさらに「別室に行くのは1時間でいいかい?」と投げかけ、また生徒に考えさせ、自己決定をうながすのです。

はじめはこんな小さな自己決定ですが、不思議なもので、小さな自己決定を繰り返していると、人は必ず元気になっていくのです。

・どうしたの?
・これからどうしたい?
・なにか手伝えることはある?

この3つの言葉がけは、人が元気を取り戻すための「魔法の言葉がけ」です。

この記事を読んでいる君も、悩んでいる友達や兄弟姉妹がいたら、こんなふうに声をかけてあげるといいと思います。

 

※本稿は、『考える。動く。自由になる。-15歳からの人生戦略』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。

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