小さな自己決定
とはいえ、そこでなかなか答えが出てくるものではありません。せいぜい「別に……」とぶっきらぼうに答えるのが精一杯です。
そんなときは、助け船となる選択肢を示してあげるようにしています。
「そうだなあ。別室を用意してあげることくらいはできるけど」
「だから、君はどちらかを選べるよ。いまから残りの時間を我慢して授業を聞くこともできるし、僕の用意した別室ですごすこともできるけど、どうする?」
などと声をかけます。
すると「じゃあ別室に行かせてください」などと言うので、そこでさらに「別室に行くのは1時間でいいかい?」と投げかけ、また生徒に考えさせ、自己決定をうながすのです。
はじめはこんな小さな自己決定ですが、不思議なもので、小さな自己決定を繰り返していると、人は必ず元気になっていくのです。
・どうしたの?
・これからどうしたい?
・なにか手伝えることはある?
この3つの言葉がけは、人が元気を取り戻すための「魔法の言葉がけ」です。
この記事を読んでいる君も、悩んでいる友達や兄弟姉妹がいたら、こんなふうに声をかけてあげるといいと思います。
※本稿は、『考える。動く。自由になる。-15歳からの人生戦略』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。
『考える。動く。自由になる。-15歳からの人生戦略』(著:工藤勇一/実務教育出版)
勉強、学び、受験、学校、社会、人間関係……。先の見えない時代、そして正解のない時代を、若者はどう生きていくべきか。
校長として40年間教育現場の先頭に立ち続け、子どもたちが自由に生きていくための学校改革を行ってきたカリスマ校長・工藤勇一氏が、初めて子どもたちに向けて書いた、親子で読みたい哲学書の決定版!