カッコいい生き方

悩む時間は、僕たちを成長させてくれます。

でも、疲れているとき、ムリにふんばらずに割り切ることも大切です。

人は、みんな、あちこちに気を遣いながら生きています。

それがカッコ悪いかと言えば、そんなことはありません。周囲を気遣いながらも自分のことを尊重し、素敵に生きている人はたくさんいます。

ただ、自分なりの心地いいバランスを見つけるまでには長い時間がかかります。

勉強が大変だったり、人間関係のトラブルが発生したり、親とぎくしゃくしたりすると、いつも通りの自分ではいられなくなります。そういうときは、バランスを取り直すための時間や人との距離が必要になります。

自分のことがわかった気になったり、やっぱりわからないな……と悩んだり、行ったり来たりしながら進んでいく。自分らしいバランスは、かんたんには見つからないものです。

『考える。動く。自由になる。-15歳からの人生戦略』(著:工藤勇一/実務教育出版)

人には力んでいるように見えても、自分の中では肩の力が抜けて自然体、そんな生き方が、僕の考えるカッコいい生き方です。

でも、それなりの歳になったいまでも、なかなかそんな自分にはなれていないように思います。でも、そうなれていない自分も、それはそれでけっこう気に入っています(笑)。

僕は、校長室まで来てくれた生徒たちに、こう伝えるようにしています。

「心の『ひだ』をつくるのが大事。そのひだが多ければ多いほど、深ければ深いほど、ものごとに対する感性が磨かれていくんだよ」

「悩む時間、つらい自分と向き合う時間を持たないと、心のひだは深くならないよ」って。