わざと迷子になる
もう一つの遊びは、「わざと迷子になること」でした。小学生くらいのときの遊びなので、バカな遊びと笑わないでくださいね。
僕はいまもそうですが、子どものころからめちゃくちゃ方向音痴なんです。鶴岡は城下町ですから、町全体、そこらじゅうに袋小路があります。これは敵が攻めてきたとき、かんたんにお城へたどり着けないように考えられたしくみです。
小学校の高学年になると、僕はよく自転車で生活範囲の外に出て行っていました。15分も走ると、まったく知らない街区に出ます。そこで思いつくまま自転車のハンドルを切っていると、袋小路にぶつかります。大きな通りに出ようにもなかなか出られなくなるんです。
方向音痴の僕は、そのうち東も西も、北も南も、いま通った道さえわからなくなってしまいます。いわゆる迷子ってやつです。こうなると家になかなか帰れなくなるわけですが、なぜかこれが気持ちよく、たびたびわざと迷子になる遊びをしていました。