(イラスト◎大野舞)
(イラスト◎大野舞)
スピリチュアリストとして、さまざまな角度から読者のお悩みに答え、生きる指針を示してくれる江原啓之さん。現在は熱海に在住し、ていねいな暮らしをしながら日々「生きる上で大切なこと」を発信し続けています。『婦人公論』のリニューアルにあたって始まった新連載「〈幸せぐせ〉を身に着けよう」。第38回は「就職して家を出た子どもから、『あなたは毒親。干渉しないで』との手紙が届いた」です。

Q 就職して家を出た子どもから、「あなたは毒親。干渉しないで」との手紙が

A)関係改善の努力をする

B)何もせず放っておく

毒親かは選ぶ答えでわかる

同居していたときはそんなそぶりもなかったのに、就職して家を出たとたん、子どもが「あなたは毒親」と告げてきた、というのが今回のテーマです。しかも、「もう干渉しないで」と絶縁宣言ともとれるような言葉が手紙に書かれていたというもの。読者のなかには、「自分自身が毒親に悩まされたから、子どもの立場のほうがわかる」という人もいるかもしれません。今回は親の立場ならどうするか、考えてみてください。

これまで何度もお伝えしていますが、スピリチュアルな視点でみると、家族はたましいの学校であって、年齢の違う学友の集まり。ですから、子どもは親の所有物ではありません。ましてや社会人となった子どもであれば、自立・自律するのは当然。ここまで言えば、もう答えはおわかりですね。Bが幸せぐせの答えです。

わが子のためによかれと思って尽くしてきた結果、毒親と言われた点が親としては引っかかるのかもしれません。けれど、ここでAのように関係改善を図って、理由を聞いたり、話し合おうとしたりしても余計にこじれるだけです。あの手この手で歩み寄ろうとする態度そのものが過干渉で、子どもから見れば、まさしく毒親なのでしょう。言い方は悪いですが、それではストーカーと同じになってしまいます。自分の納得できる関係に戻りたいとあれこれもがいてしまうのは、子どもに依存している証拠ではないでしょうか。

もちろん、ここまで学費を出し、独り立ちできるように育ててきたのに、いきなり毒親扱いされたら、親としては寝耳に水で、腹立たしい気持ちもあるでしょう。そういう意味で、この子どもはかなりの知恵者だとも言えます。「お金を出してもらっている間は我慢していたけれど、社会に出たら、もうその必要もない」という気持ちで書いた手紙だと推測するなら、「子どもにしてやられた!」と思うしかありません。相手のほうが一枚上手だっただけ。Bのように放っておくのが一番いいのです。

日本は、「家族の絆」という言葉に弱い人が多いように思います。絆は大事ですが、それは依存し合う関係を指すものではありません。最初に述べたように、家族は学校。それぞれのたましいは別です。大切なのは、身近にいる家族が互いに切磋琢磨して学び合える関係であること。子どもが親の姿を見て反面教師にすることもあれば、子どもと接しながら親が学ぶこともあるでしょう。先輩である親が子どもにすべきことは、社会に出るためのルールを教えることだけ。家族の絆はあっても、それにしがみついてはいけません。