今の日本人の若者

聞けば、高校生の孫娘は、家庭科の授業で投資をするように教育されたと言ったらしい。

私は勿論、「そんな教育をする学校はアホだ」と返答した。投資を積極的にすることが世間の動きに準じており、遅れれば損をする、という考えがあると言う。

『またどこかで 大人の流儀12』(著:伊集院静/講談社)

――バカを言ってなさい。

投資は金だけを出して利益をあげようという人間のさもしい根性がそうさせているだけである。十歳代の女の子がやって儲かるわけがないし、第一リスクをともなうことを根っから考えていない。

アメリカのリーマンショックも、大半の国民が金融商品に手を出した結果である。世界恐慌に陥っても仕方ない状況を何とか乗り越えられたのは、アメリカのすべての富を約5%の富裕層が握っていたので、彼等の身の保全が功を奏しアメリカは助かっただけだ。

なぜこんな話を書いたか? それはアメリカに右へ倣えの経済の考えが、日本にも横行しているからである。

特に今の日本人の若者は、ラクして生きる方法を四六時中考えているアホであふれている。そんなことで成功したら、まともな人生を歩ける訳がない。その根本が、日本人の若者はわかってないし、マスコミもそれがまるで理解できていないのである。

――ラクして生きる方法は何ひとつない。