死は、生の延長線上にある現象
結局、いくつか受けた検査でガンは見つかりませんでしたが、この考えは今の生きかたに活かされています。死生観を持つことにより人生の方向性が定まり、ずいぶん生きやすくなりました。
死は、生の延長線上にある現象に過ぎません。恐れることもないし、過剰に意識する理由もありません。何より、いずれみんな死ぬんだから、ビクビクしていても仕方ないでしょう。
もし心安らかに旅立つことを望むなら、楽しくて笑顔がこぼれてしまうような思い出をたくさんつくってください。今からでも充分間に合います。これまでしようと思っていたけど縁がなくできなかったことや、躊躇していたことには、迷わず挑戦しましょう。そうした経験で得られる喜びは、これから生きていく力につながります。
※本稿は、『死ぬのはこわくない ―それまでひとりを楽しむ本』(興陽館)の一部を再編集したものです。
『死ぬのはこわくない ―それまでひとりを楽しむ本』(著:和田秀樹/興陽館)
年間200人の死に立ち会ってきた高齢医療の専門医、和田秀樹の書いた死生論。
夫や妻、家族がなくなってひとりになってからどう生きるか、ひとりになってからの生き方と老齢の壁を超える方法についてなど、わかりやすく指南していきます。