コレステロールの“パラドックス”

鎌田 もうひとつ「パラドックス(逆説)」があって、それがコレステロールなんです。高齢になるとコレステロール値が少し高めのほうが長生きになるんですよ。80代になったらとくに、コレステロールを減らさないことも大事です。標準値より高くても寿命に影響はないけれど、低いと死亡率が高まるんです。

荻原 70代はどうですか?

『お金が貯まる健康習慣』(著:鎌田實、荻原博子/主婦の友社)

鎌田 ぼくは65歳以上の患者さんには、コレステロールを減らす薬は出していません。薬をやめても多くの患者さんは、悪玉コレステロール値も善玉もさほど大きな変化はないことを確認しています。厚生労働省も2015年には食事の摂取基準からコレステロールの上限を撤廃しているんです。

荻原 「卵は1日1個まで」という制限も、なくなりましたもんね。

鎌田 卵を勝手に悪者にしていたんだよね。でも、卵は優秀なたんぱく源。たんぱく質が少ないと、筋肉が減って歩けなくなるし、エネルギーもわいてこない。血管だってもろくなります。

荻原 70代以降は「ちょい太」が正解って、なんだかうれしい言葉ですね。

鎌田 荻原さんはちょうどいいですよ。自信をもって!

荻原 あははは、ありがとうございます。