「聴く」を大切にする工夫
我が家では、生活の中でも「聴く」ということを大切にしたかったので、なるべく音の流しっぱなしはしないようにしていました。BGMとしてクラシック音楽を流し続けることもありません。
テレビはリビングには置いていなかったので、食事をしながらテレビを見る、という習慣もありませんでした。音楽もテレビも、聴きたい時・見たい時に聴く・見る、というようにしていました。そのかわり、生活の中で耳を澄まして周囲の音当てごっこをよくしました。
たとえば、鬼役の子どもに目隠しをして、ほかの人たちが出す音が何の音かを当てるというゲーム。
新聞紙を丸める、広告を破く、プラスチックの卵パックをつぶす……実は普段の生活のどこかで一度は聞いたことがあるはずの音ばかりですが、目隠しをして音だけ聞いてみると、意外にわからないものがあったりして、盛り上がります。
あるいは、もう少し難度の高いものとしては、しゃがんだ体勢から誰か一人だけがすくっと立ち上がり、「いま、誰が立ち上がったでしょうか?」という問題を出すこともありました。ちょっとした動作が出す、ほとんど「気配」に近いような音が、どちらの方向から聞こえてくるのか、注意深く耳を澄まさなければなりません。