そんなふうに努力していても、最近、重い荷物を手にぶら提げて歩くと背中が丸まるように。上半身の筋力が弱ってくると、荷物の重さに引っ張られて肘が前に出るため、前かがみの姿勢になってしまう。私の荷物は、お弁当だけでもけっこう重たいですからね(笑)。

両手に1つずつバランスよく持っても改善されなかったため、最近、車輪付きのショッピングカートに荷物を入れて、右手で引いたり左手で引いたりしながら歩くようにしました。

すると、肘の位置が自然と体の横に固定され、しゃきっと背筋が伸びて、若々しい姿勢で歩けるようになったのです。

昨年10月からは、週1回太極拳のレッスンにも通い始めました。60代後半から3年ほど通っていましたが、クリニックの開院などで忙しく、すっかりご無沙汰していたのです。太極拳はゆったりした動きなので、80代になっても無理なく行えます。

背筋を伸ばしたままの重心移動、爪先ではなくかかとから着地する動きなど、転倒予防に効果的なポイントがたくさんあると、改めて実感しました。

特に、股関節をゆるめて中腰で立つという太極拳の基本姿勢は、バランス感覚の向上にうってつけ。クリニックで幼児の運動指導を行う際も、台から跳び下りて着地した時、膝を曲げた状態で踏ん張れるかどうかをチェックします。踏ん張る力が弱かったり、左右差があったりする子どもは転びやすい。それは大人でも高齢者でも同じです。

また、太極拳の深く長くゆったりとした呼吸法は呼吸筋や肺機能のトレーニングにもなるんですよ。

若い頃に比べれば記憶力も体力も衰え、悩みはいくらでも出てくるでしょう。それを嘆くより、今できることを、こつこつと積み重ねていこうと思っています。

【関連記事】
竹下景子 70歳を前に「足の見える化検診」を受けたら「足の曲がり角は50歳、骨粗鬆症予備軍」と言われ。「足の8020運動」を
樋口恵子92歳「90歳から始めた約2年の連載。老いの最前線にいても、理想的な老い方は見つからず。それでも、人生100年時代の実相を伝えられたら」
80代以上の2人に1人が<慢性腎臓病>?2005年から15年にかけて患者数は150万人も増加…その理由とは。専門医「生活習慣病、心血管疾患と関連が」