29歳で単身フランスへ渡り、YouTubeでフランス・ナントから日々の暮らし、家族の在り方について発信する人気のYouTuber・大畑典子さん。「何を食べるかよりも誰と時間を過ごすか」「家事を頑張りすぎない」など、フランス人のシンプルな生き方は、せわしない日々を送る日本人の心に刺さるものばかりです。そんな大畑さんが綴る最新エッセイ『私が決める、私の幸せ』より、フランス流シンプルな生活と軽やかに生きるヒントをお届けします。
1度きりの人生、後悔したくない!と決断
「この生活を続けて本当に幸せな未来が待っているのだろうか」「何か大切なことを見失いかけてはいないだろうか」
東京で建築士としてがむしゃらに働いていた頃は、心にもやもやした気持ちを抱えていました。
そんな中、これからの人生でやりたいこと、目標がぽつぽつと芽生えてきたのです。そのひとつが「フランスに住む」ことでした。
30歳近くでの新たな挑戦は、手にしている安定を捨て、未知の世界に足を踏み入れるような、底知れぬ不安がありました。
周囲からは「せっかく取った建築士の資格があるのに、積み上げてきたキャリアを捨ててもったいない」「結婚、子どもはもう諦めたの?」と言われる中での決断でした。
その決断を後押ししたのは、「1度きりの人生、後悔したくない!」という思いでした。
しかし自分で決めたはずなのに、誰も待っていないフランスへ向かう飛行機の中で、不安に押しつぶされそうになったのを覚えています。
そしていざフランスでの大学院生活が始まると、さらなる困難が待っていました。